フォード Kaに乗ってみてわかった国産車と欧州車の違い【寄稿】

フォード Kaという車をご存知でしょうか?

 

1999年にフォードより販売された、2ドア4人乗りのコンパクトハッチバックスタイルの車です。
「Ka」と書いて「カー」と読むこの車は、まるでUFOの様な丸っこい外観を持ち、女性ウケするようなファニーなデザインをしています。

名車? 珍車? いまや希少なフォード Kaとの出会い

知らない人が見るとふざけた車にしか見えないこの車は、その外観やカタログスペックでは言い表せない魅力に溢れた車なのです。
新車価格は150万円。

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フォード kaは珍車として扱われるようになった

日本に新車で輸入された当時はまったく売れず、困ったフォードディーラーの半額値引きにも関わらずほとんどの人が見向きもしませんでした。
その原因は、マニュアルトランスミッションしか用意されなかったグレード設定。

2000年前後は、AT車の普及とともに、小型ながら広い室内が魅力のトヨタ ヴィッツを始めとしたコンパクトカーが普及し始めた次期でもあり、勢いある国産コンパクトカー勢に、フォード Kaは太刀打ちできませんでした。
こうして、フォード kaは珍車として扱われるようになったのです。

 

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フォード kaが素晴らしい車

フォード kaの登場から15年後、当時31歳だった私は車の乗り換えを検討しており、近所の中古車を物色していました。そこで偶然見つけた車が、フォード kaです。

車が好きで、モータースポーツファンでもある私は、「フォード kaが海外のラリーの入門車として人気がある」程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、試乗させてもらい、フォード kaが素晴らしい車であることに気づきました。
走行距離45000kmで車両価格15万円。程度はそこそこ。

不人気車ゆえの価格の安さも相まって、その場で迷わず購入を決めました。そして、このとき出会ったフォード kaが現在の愛車でもあります。大切な私の相棒であるフォード kaをご紹介します。

 

 

 

 

 

意外に知られていない米国フォードと欧州フォードの違い

 

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車の製造コンセプトは大きく異なります

フォードといっても、フォード kaはアメリカ製ではありません。
フォードは米国フォードと欧州フォードに分かれており、その車の製造コンセプトは大きく異なります。
米フォードが販売するのは、大排気量エンジンを搭載したマスタングやエクスプローラーなどのいわゆるアメ車。

対する欧州フォードは、kaやフォーカスなどのヨーロッパ圏で人気のある、小排気量コンパクトハッチバックを製造しています。
欧州フォード車は、ヨーロッパの山岳地帯を快適に走行できるように各部がセッティングされており、それは欧州フォード最小モデルのKaも例外ではありません。

市街地の走行では、決して乗り心地が良いとはいえない固めのサスペンションは、ワインディングに持ちだして少し高めの速度で走行すると硬すぎず柔らかすぎないスウィートスポットに入るように調整されており、高いボディ剛性のおかげもあって不安定な動きは一切見せません。

 

OHVエンジンの音や回転フィールを感じたくなる気持ちよさ

また、その小さなボディからは想像できない直進安定性は、コンパクトカーの枠を越えたセダン並の安定感があり、同年代の国産車によく見られるステアリングのブレなども皆無です。
エンジンは1300ccの排気量ながら、今時の軽自動車にも劣る60馬力しかありません。
しかも、エンジンの基本設計は20年前のケントエンジンをベースとしたOHVで、電子インジェクション化されているものの非力さは隠しきれません。
しかし、低速重視のトルク設定のおかげで、特に加速に不足を感じることはなく、カチッと節度感のあるマニュアルトランスミッションを駆使すれば日常のシーンで困ることはありません。
むしろ、積極的にシフトチェンジして、OHVエンジンの音や回転フィールを感じたくなる気持ちよさがあります。

 

欧州フォードのクルマづくりに対する哲学

コンパクトな外観から想像できるとおり、車内は狭く、快適とは言いがたい造りをしていますが、スポーツカーほど不便ではなく日常的な使い方なら問題はありません。
ただし、ステアリングは油圧パワステながら重く、シフトも固く重くセッティングされています。
さらにドアレバー、ウィンカーレバー、エアコンスイッチなどのあらゆるインターフェースまでもが重く固くできています。

それらは決して不快ではなく、ステアリングの重さに対して適切なシフトの重さ、適切なウィンカースイッチの硬さといった、一貫した手応えが車全体で一つの道具であることを感じさせられ、欧州フォードのクルマづくりに対する哲学のようなものが見え隠れします。

 

 

日本車と欧州車の最大の違いは自動車に対する歴史と哲学

根本的な車に対する哲学の違い

フォードは2016年1月26日、低迷する日本市場からの撤退を発表しました。
これにより、現存するフォード車のアフターメンテナンスにも陰りが見え始めています。
とはいえ撤退発表から2年経ちますが、部品供給は行われている模様です。

フォードが撤退せざるを得なかった理由として、日本市場のリサーチが足りなかったのではないかと言う声も挙がっています。
日本で需要のあるオートマチックトランスミッションが用意されずに投入されたフォード Kaが販売された20年前からその体制は変わっていないのは、単なるリサーチ不足ではなく、根本的な車に対する哲学の違いからくるものかもしれません。

 

ゴムブッシュが固めに設定

自動車の歴史が日本よりも長く、生活に欠かせないものである欧州では、自動車ユーザーが日本よりも深い感性や知識を有しており、自動車に対する姿勢も日本とは違うものです。

欧州の自動車ユーザーは老若男女問わず、自動車に対するこだわりが感じられるのです。必然的に、欧州のメーカーはユーザーの要望に応える車を造らなければなりません。それが顕著に現れるのがサスペンションを含めたシャシーのセッティングです。

 

フォード Kaと同じクラスの日本のコンパクトカーでは、まるで各部に軟骨が入っているかのような弛さを感じるのに対し、Kaは特別な機構や構造を採用しているわけではないのに、まるで鉄筋が入っているかのようなカタマリ感をドライバーに感じさせます。

特に直進安定性に関しては、欧州車はステアリングから手を離してもまっすぐ進むのに対し、日本の車はステアリングを押さえていないと、わずかに進行方向がずれてしまうのです。
その原因は、過度に乗り心地を追求するために柔らかく設定されたサスペンションのゴムブッシュのせいでしょう。

欧州車は総じてゴムブッシュが固めに設定されています。
これが欧州車は走りが良いと言われる所以です。

 

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